住宅の種類と構造別のメリット・デメリット、価格や寿命と耐震性の比較
住宅を買おうと思うけど、何を見てどこを比べて買ったら良いか分からない、このあいだ家を買った知り合いに聞いてみたけど、何を言っているのか分からない、そんな方が多いのではないでしょうか。そんな方に今回は住宅の構造について分かりやすくお伝えいたします。そしてご購入時にはホームインスペクションを活用してください。

住宅の種類とは
住宅には大きく分けて、
- 戸建て住宅
- 集合住宅(マンション・アパート)
この2種類です。当たり前のことをすみません。
住宅の構造とは
住宅の構造とは、住宅の柱と梁(はり)が何で出来ているのかで変わり、そのほとんどが下記の構造です。
- 木造
- 鉄筋コンクリート造
- 鉄骨造(軽量鉄骨増)※この2種類は建物の規模によって変わります。
この3構造のどれかになります。
※この他にも鉄骨鉄筋コンクリート造、ブロック造、ログハウス、3Dプリンター住宅など色々ありますが、今回は上記の3構造を説明いたします。
主な住宅の種類と構造の組み合わせ
日本の住宅のほとんどは下記の2種類と3構造の組み合わせたものになります。
- 戸建て住宅+木造
- 戸建て住宅+鉄筋コンクリート造
- 戸建て住宅+鉄骨造(軽量鉄骨造)
- 集合住宅+木造
- 集合住宅+鉄筋コンクリート造
- 集合住宅+鉄骨造または軽量鉄骨造
この6パターンのメリット・デメリットをご説明いたします。
※鉄骨造か軽量鉄骨造かの違いは、柱や梁が厚みが6ミリ以上か未満かです。
住宅の種類と構造別のメリット・デメリット
※なるべく専門用語を使わずわかりやすいように表現をしております。
・戸建て住宅+木造
メリット・・・木の温もりや香りを感じる、価格が安い、環境にやさしい(二酸化炭素を吸収)、湿度を調整してくれて健康に良い、維持費が安い、リフォームの自由度が高い、多くの施工会社が対応している
デメリット・・・火災に弱い、シロアリ被害の恐れがある、耐久性が低い、防音性が低い、大空間の部屋が作りにくい(途中に柱が必要)、大工さんの腕による品質の差が大きい
・戸建て住宅+鉄筋コンクリート造
メリット・・・地震に強い、火災に強い、防音性が高い、自由な形に空間が作れる、気密性が高い
デメリット・・・価格が高い、無機質で温かみがない、湿気がこもりやすく結露しやすい、工事の完成まで時間が長い、建物重量による地盤補強が必要になる可能性が高い、リフォームの自由度が低い
・戸建て住宅+鉄骨造(軽量鉄骨造)
メリット・・・地震に強い、大空間の部屋が作れる、工場生産で品質が安定している、工事の完成まで時間が短い、プレハブ工法では価格が安い
デメリット・・・火災に弱い、価格が高い、防音性が低い、断熱性が低い、通気性が低い、リフォームの自由度が低い
・集合住宅+木造
メリット・・・価格が安い、維持費が安い、工事の完成まで時間が短い、環境にやさしい(二酸化炭素を吸収)
デメリット・・・火災に弱い、防音性が低い、大空間の部屋が作りにくい(途中に柱が必要)、地震に弱い
・集合住宅+鉄筋コンクリート造
メリット・・・地震に強い、火災に強い、防音性が高い、自由な形に空間が作れる、気密性が高い
デメリット・・・価格が高い、無機質で温かみがない、湿気がこもりやすく結露しやすい、工事の完成まで時間が長い、リフォームの自由度が低い
・集合住宅+鉄骨造(軽量鉄骨造)
メリット・・・大空間の部屋が作れる、工場生産で品質が安定している、工事の完成まで時間が短い
デメリット・・・火災に弱い、価格が高い、防音性が低い、断熱性が低い、通気性が低い、リフォームの自由度が低い
メリット・デメリットまとめ
皆様の気になる構造はどうでしたか?基本的には上記のような性能になります。ただし戸建て住宅なら克服できるデメリット(木造でも火災に強いなど)もありますので、くわしくは新築住宅なら設計士(営業担当)に、中古住宅ならホームインスペクションに確認を取るのをお勧めします。
住宅の価格比較 ※国税庁調べ令和6年度、工事費用
全国平均の価格は・・・1㎡あたり、(1坪あたり約3.3㎡)※千円以下切り捨て
- 木造・・・217,000円、(716,000円)
- 鉄筋コンクリート造・・・338,000円、(1,115,000円)
- 鉄骨造・・・314,000円、(1,036,000円)
鉄筋コンクリート造は鉄骨造の約1.05倍、木造の約1.5倍。鉄骨造は木造の約1.5倍の金額です。
この金額差とメリット・デメリットを見てもらい自分に合った構造をお選びください。
※構造別の金額差を見てもらうための参考資料です。金額は地域差が大きいので、くわしくはこちらから各都道府県の資料をお調べください。
住宅の寿命は
物件による築年数などの差が大きくて一概には言えませんが、どの構造も適切にメンテナンスを行えば50年以上住むことができます。逆にメンテナンスをしなければ安心ではありません。
下記の住宅の法定耐用年数は唯一客観的な指標ですが、実際はこれ以上の耐用年数がございますので、税金対策などをお考えであればご参考ください。
住宅の法定耐用年数※国税庁
- 木造・・・22年
- 軽量鉄骨造・・・鋼材の厚みが、3mm以下:19年、3mmを超え4mm以下:27年、4mmを超えるもの:34年
- 鉄骨造・・・34年
- 鉄筋コンクリート造・・・47年
※減価償却につかう法定耐用年数なので、実際の耐用年数とは異なります。
地震に対しての耐久性 ※内閣府・国土交通省調べ
阪神淡路大震災での記録 震度7での倒壊率
- 木造住宅(1981年以前旧耐震基準)・・・40%
- 木造住宅(1981年以降新耐震基準)・・・10%以下
- 鉄筋コンクリート造(1981年以前旧耐震基準)・・・14%
- 鉄筋コンクリート造(1981年以降新耐震基準)・・・5~6%程度
熊本地震での記録 震度7での倒壊率
- 木造住宅(1981年以前旧耐震基準)・・・約28.2%
- 木造住宅(1981年以降新耐震基準)・・・約8.7%
- 木造住宅(2000年以降)・・・約2.2%
※1981年以前の住宅に地震に弱い特徴の建物が多いだけで、1981年以前の建物がすべて地震に弱いわけではありません。
この数値を見ていただいて分かるように、これから購入する予定の住宅が中古戸建て住宅であれば、購入前に築年数と構造を見ていただき、ホームインスペクションを受けて適切なメンテナンスや耐震化をご検討ください。中古集合住宅の場合は築年数と構造、修繕履歴と長期修繕計画を必ずご確認の上ご購入ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。様々なデータを見ていただいて分かるように、すべてを兼ね備える住宅構造はなく、ご自分が住宅に求めるものは何かをよく考えていただいて、それに当てはまる種類や構造の住宅をご購入いただければと思います。
そして住宅価格が上昇しておりますので、ご購入の際はホームインスペクションを活用していただいて、トラブルを未然に防止し、安心して過ごしていただきたいです。
次回ですが、住宅の保証期間やその内容についてをお伝えいたします。
プロフィール

- ホームインスペクター
-
1983年生まれ
広島県出身
広島工業大学専門学校卒業
建築の設計・施工・解体を経験し様々な知識を併せ持っています
2級建築士・1級施工管理技士・宅地建物取引主任者の資格を保有しています
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